長老は泡盛を呑みながら、一言一言噛みしめるように話し始めました。
「沖縄の戦争は・・・」
すると息子さんが
「じーじ、酔っ払ってるからあまり余計なこと言うなよ」と言いました。
長老は湯呑で泡盛をちびちびと呑んでいました。
わたしは辺戸岬でのシャワー雲のことを思い出していました。
泊めてもらうので、長老の話は聞かなくてはと、17歳の高校生は思っていました。
「アメリカ兵にたくさん殺されたけれど、それと同じくらい日本兵からも殺された」
長老は泣いていました。
沖縄に来て初めて沖縄の人の涙を見ました。
絞り出すような声で、ゆっくりと
「あんたらは戦争が終わったら知らん顔だ」
息子さんが「もうじーじ、寝たらどう?」と声をかけました。
しばらく沈黙が続きました。
わたしごときが何を言っても通じるものではない、と思いました。
初めて聞かされた戦争の怖さを、17歳にして知りました。
次の日、息子さんに見送られて辺土名高校へ向かいました。